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気管支喘息

気管支喘息

気管支喘息は増えている?

日本では、気管支喘息の患者さんは増えており、1960年代では子供も大人も1%前後でしたが、最新の調査では子供で約6%と6倍、大人で約3%と3倍になっています。全体では450万人と増えています(厚生労働省の調査)。

家屋構造の変化によるアレルゲンの増加、排気ガスや工場排煙などによる大気汚染、食品や住宅建材などの化学物質、長時間勤務による過労やストレスが増えたこと、清潔すぎる環境などが気管支喘息を発症させる要因と考えられています。


気管支喘息とは?

気管支喘息は、気道(肺に通じる空気の通り道)に慢性的な炎症が起こっている病気です。

気管支喘息の人の気道は、症状がないときでも常に炎症を起こしており、健康な人に比べて気道が狭くなって空気が通りにくくなっています。

炎症が起こっている気道はとても敏感になっていて、正常な気道なら何の反応も示さないハウスダスト、ダニ、タバコの煙や冷気、ストレスなどのわずかな刺激でも狭くなります

そのとき気道は次のような状態になります。

1. 気道をとりまく平滑筋が収縮する

2. 気道の粘膜がむくむ

3. 粘膜の分泌物が増え、痰となって気道を塞ぐ

これらの変化が同時に起こることによって空気の通り道が塞がれるので呼吸が苦しくなります。

また、空気が狭いところを通るので、息を吐くときに「ゼーゼー」「ヒューヒュー」とゆう音(喘鳴)がします

これが喘息の発作です。

 

咳喘息

最近では気管支喘息とは別の「咳喘息」という病気が増加しています

咳喘息とは、その名の通り「咳」が症状になります。咳喘息の場合は、気管支喘息のような喘鳴がありません。

風邪は治ったのに咳だけがずっと治らない、空咳が8週間以上続いている…といった場合は、咳喘息かもしれません。

咳喘息は、病院にいってもなかなか診断することが難しい病気の1つです。


気管支喘息の西洋医学的治療

気管支喘息の西洋医学的治療は狭くなった気道を拡張することに主眼が置かれていましたが、

今日では発作をおこさないための気道炎症の治療が中心となってきました。

アレルゲンを避けて、気道の炎症を改善させる薬を使用し、喘息でない人と同じように運動したり、日常生活をおくれるようにコントロールしていきます

 

 

気管支喘息の東洋医学的解釈

漢方では、気管支喘息のことを「哮喘」と言います。

哮:呼吸するとヒューヒューと笛を吹くような呼吸の状態

喘:呼吸が促迫して息苦しい状態

「肺」の呼吸が何らかの要因で邪魔されることによって、息苦しい、またこの邪魔モノを排出しようと咳が出ます。

この「肺」の呼吸を邪魔する何らかの要因はいくつか挙げられ、それぞれに応じた処方が用いられますが、発作期と安定期(間欠期とも呼ばれる)でも処方が使い分けられます。


気管支喘息の主な発症要因

1) 外からの邪気によるもの

風邪と同じく、体の防御能力が低下しているときに冷えや急激な温度変化などの環境要因(外邪)によって発生するものです。

一般的には「咳の出るかぜ」と捉えられますが、咳を繰り返すことで更なる体力の低下や、のどの粘膜が荒れてしまって、ちょっとしたことですぐに咳が出て、慢性化してしまうこともあります。

2)胃腸の機能低下によるもの

もともとの体質的な問題や飲食の不摂生、ストレスの影響などにより胃腸の機能が低下すると、「痰」と呼ばれる有効活用されない水分が発生して、これが呼吸の邪魔をすることで慢性的な咳が発生します。

※「痰」とは、漢方の概念では「脾は生痰の源、肺は貯痰の器」と言って、「痰」は胃腸(脾)の水分代謝異常が原因で発生し、「肺」に送られると考えられています。

3)ストレスによるもの

ストレスは「気」の流れに悪影響を及ぼしますが、「肺」は空「気」を取り入れる窓口になっており、「気」の流れの滞りや乱れは、「気」の入り口でもある「肺」の機能を邪魔して咳が発生します。

検査をしてもアレルギー反応がでないといった成人になってから発症する喘息に多く見られます。

長期間にわたるストレスが胃腸の機能にも悪影響を与えることから、このタイプは2)を合併していることもあります。

4)老化などによるもの

老化は、漢方では「腎」の衰え(=腎虚)と捉えますが、「腎」は呼吸に関しては主に「吸気」に関わっており、「腎」の衰えは呼吸機能の低下を招きます。

※ちなみに漢方の考え方では「肺」は主に「呼気」に関わっています。


以上、気管支喘息の主たる要因を挙げましたが、

最も気にかけるべきは体内に発生した病理産物である「痰」です。この「痰」が肺の呼吸機能を妨害し、「痰」を排泄しようと咳を繰り返すのが気管支喘息ですので、

「咳を止める」ことよりも「痰」が発生しないようにすることの方が重要です。

この点は対症的な西洋医学的な治療予防的ともいえる漢方医学的な治療の違う点です。

重症の発作期などは、西洋医学的な治療も有効ですが、安定期に漫然と気管支拡張剤やステロイドの吸入を使用することは、漢方的に考えれば「痰」の排泄を阻害し、体内に「痰」がますます蓄積していくことで難治性の喘息になる危険性もあると考えられます

 


松山漢方相談薬局では体質チェック、食事や生活習慣のカウンセリングを行っています。

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薬剤師 宗像 良典

 

 

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