不妊症といわれる中にも様々な要因がございます。
妊娠しやすいカラダを目指すため、まずはその原因を知ることが改善への第一歩となります。
ここでは、代表的な不妊症の原因の漢方の解説と改善方法をご説明いたします。
しかし、お一人お一人、お体の状態は違います。
自己判断せずぜひ専門のところでご自分に合った漢方薬をお飲みください。
自然流産や早産を3回以上繰り返す場合で、50%は原因が不明とされます。
流産とは、妊娠反応が陽性で子宮内に胎児または胎嚢が確認された後、その成長が停止した状態になり、妊娠22週までに赤ちゃんが母体から外に出てしまうことをいいます。自然流産が起こる頻度は、全妊娠の10~15%です。
習慣性流産の原因としては、染色体異常が自然流産胎児の約70%を占めますが、ほかに免疫異常、内分泌異常、環境因子、子宮や頸管の病変、感染症、男性因子などです。
妊娠はするけれども、流産、死産や新生児死亡などを繰り返して結果的に子供を持てない場合、不育症と呼びます。
習慣性(あるいは反復)流産は妊娠22週以降の死産や生後1週間以内の新生児死亡は含まれませんが、不育症はより広い意味で用いられています。一般的には2回連続した流産・死産があれば不育症と診断し、原因を探索します。また1人目が正常に分娩しても、2人目、3人目が続けて流産や死産になった際、続発性不育症として検査をし、治療を行なう場合があります。
厚生労働研究班による日本での不育症のリスク因子別頻度の集計では、子宮の形が悪い子宮形態異常が7.8%、甲状腺の異常が6.8%、両親のどちらかの染色体異常が4.6%、抗リン脂質抗体症候群が10.2%、凝固因子異常として第XII因子欠乏症が7.2%、プロテインS欠乏症が7.4%となっています。
流産の原因では、最も頻度の高いのが胎児の染色体異常で約80%を占めます。
リスク因子を調べて原因がはっきりとした人は治療を行ないますし、原因が判らなかった原因不明(偶発的な流産をくり返したと思われる方)の方は何も治療をしなくても、次回の妊娠で成功することもあります。
精子を外部からの異物とみなし攻撃してしまう抗体は、男女いずれにも発生することがあります。不妊男性の6%、不妊女性の13%が精子の動きを抑制する抗体を持つとされています。
抗精子抗体は、女性では子宮頚管液、子宮腔、卵管内、卵胞液などに認められ、精液所見には問題がないのにフーナーテスト不良となります。男性では、精巣内、血中、精漿中などに認められ、精子の運動性を低下させる抗体の場合、精液所見は不良になります。
免疫性不妊(抗精子抗体)の原因は、女性では抗精子抗体は、結婚後に精子に被曝されたことによります。男性は、精管閉鎖や精管結紮のような場合に、精子が精管外に進出し異種抗原と認識されて抗体が産生されます。
免疫性不妊(抗精子抗体)に対する西洋医学での治療法
抗体価が10未満であれば人工授精により子宮頚管液での接触を避けることが可能ですが、子宮腔内、卵管内、卵胞液内の抗体との接触は避けられないため、抗体価が高い場合は体外受精でなければ妊娠は難しいとされます。
自己の体内にある物質に対し抗体を産生し、様々な異常をもたらすものを自己免疫疾患といいます。抗リン脂質抗体は、習慣性流産の10~16%にみられます。
リン脂質抗体は、血管内皮や血小板の細胞膜を構成する物質で、それに対する抗リン脂質抗体は、血小板や血管壁に作用し血栓を引き起こす誘因となり、血管収縮を起こします。この現象が胎盤や子宮内膜の着床部位に起こり流産を誘発すると考えられています。
抗精子抗体や抗リン脂質抗体と同様に、自己の体内にある物質に対し抗体を産生し、様々な異常をもたらすものを自己免疫疾患のひとつです。
抗核抗体は、もともと膠原病の指標で、不妊症との直接的な因果関係も明確ではありませんが、抗核抗体陽性を示す場合に、習慣流産や血栓症を誘発し不妊症や不育症の原因となりうる抗リン脂質抗体症候群(APS)陽性の割合が20%程度含まれるとされます。また難治性不妊例では抗リン脂質抗体陽性例が多くに確認されるため検査の有用性が高いとされています。